空撮や点検に便利なドローンですが、無許可のまま飛ばすと法令違反や事故リスクに直結します。
どこで何をすると許可が必要になるのか。
無許可になりやすい盲点はどこか。
そして実際にどう申請すればよいのかを、プロの視点で体系的に解説します。
最新情報です。
初めての方にも経験者にも役立つよう、具体的な手順とチェックリスト、比較表までまとめました。
この記事を読めば、今日から安全で法令順守のフライトに切り替えられます。
目次
ドローン 無許可の飛行が招くリスクと法律の全体像
無許可の飛行とは、本来必要となる許可や承認、登録などの手続きを取らずに飛行させる行為を指します。
対象は趣味でも業務でも同じで、機体重量や空域、飛行方法によって求められる手続が変わります。
見落としがちなのは、航空法だけでなく複数法令が同時に関係する点です。
従って、出発前に法令の重なりを俯瞰することが重要です。
関係する主な法令は、航空法、小型無人機等飛行禁止法、電波法、道路交通法や道路法、各自治体条例、民法や個人情報保護関連などです。
このうち航空法は、100g以上の機体を無人航空機として定め、空域と飛行方法の両面でルールを置いています。
小型無人機等飛行禁止法は、重要施設やイベント会場周辺などの禁止区域を定めます。
電波法は技適と周波数遵守を求めます。
無許可とは何を指すか
許可とは、空域に関する許可や飛行方法に関する承認、機体登録、リモートID、そして場所管理者の許諾などを含みます。
いずれか一つでも欠ければ無許可に該当し、飛行を中止すべき状態です。
特に人口集中地区や夜間、目視外などは事前の許可や承認が必要になります。
主な適用法令の整理
航空法は空域と飛行方法を所管します。
小型無人機等飛行禁止法は重要施設やイベント周辺の飛行を制限します。
電波法は技適マークのない送受信機の使用や出力超過を禁止します。
道路使用や公園内の飛行は道路交通法や各自治体条例で制限される場合があります。
誰が対象か 趣味と業務の違い
趣味飛行であっても法令の適用は同じです。
業務での飛行は安全管理体制やマニュアル整備、包括許可の活用などが実務上求められますが、根本の許可要件は変わりません。
両者ともに事前計画と申請が鍵になります。
無許可は一つでも欠ければ成立します。
空域許可、飛行方法承認、機体登録とリモートID、場所の許諾、電波法の順守をワンセットで確認しましょう。
| 項目 | 許可なし | 許可・承認あり |
|---|---|---|
| 人口集中地区 | 飛行不可 | 条件付きで可 |
| 夜間・目視外 | 飛行不可 | 承認条件下で可 |
| 機体登録・リモートID | 未登録は違反 | 登録とIDで適法 |
| 重要施設周辺 | 原則禁止 | 個別の同意や手続が必要 |
許可・承認が必要になる場面と対象機体
航空法上、100g以上の機体は無人航空機に該当し、特定の空域や飛行方法で許可や承認が必要です。
判断の出発点は機体重量と飛行場所、そして飛行形態です。
次の要件に一つでも当てはまる場合は申請が必要になります。
どの空域で許可が必要か
以下の空域は許可の対象です。
- 人口集中地区上空
- 空港等周辺
- 地表または水面から150m以上の空域
該当する場合、事前に国土交通大臣の許可が求められます。
地図での事前確認を徹底しましょう。
どの飛行方法で承認が必要か
次の飛行方法は承認の対象です。
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 人や物件から30m未満の接近
- イベント上空の飛行
- 危険物輸送
- 物件投下
組み合わせる場合は、その全てについて承認を受ける必要があります。
100g以上の定義と対象
離陸時重量が100g以上の機体は無人航空機として航空法の適用を受けます。
プロペラガードやバッテリー、装着アクセサリも重量に含めて判断します。
100g未満でも他法令の制限は残るため油断は禁物です。
包括許可の活用場面
反復して同様の飛行を行う場合、一定条件の範囲で一年間の包括許可や承認が活用できます。
定期点検やトレーニングでは効率化に有効です。
ただし具体の場所や高度、対人距離などは安全に配慮した運用が前提です。
無許可になりやすい代表ケースと見落としポイント
無許可の多くは、空域や飛行方法の思い込みから生じます。
現場で起きやすい典型例を把握し、事前に潰しておきましょう。
人口集中地区での練習
郊外と思っても実は人口集中地区に含まれるケースは多くあります。
練習は原則としてDID外の安全な場所で、許可が無い場合は飛行を避けます。
地形が開けていても判定は地図基準で行われます。
夜間の撮影
夕景や夜景の空撮は魅力ですが、承認なしの夜間飛行は違反です。
照明や補助者配置、飛行手順など安全条件を満たす計画が必要です。
道路や河川・海岸
道路上の離着陸や占用には、警察の道路使用許可が必要になる場合があります。
河川敷や海岸も管理者の許諾が求められるのが通例です。
場所の管理権者を事前に確認しましょう。
公園・自治体条例
多くの自治体や公園では、ドローンの飛行や離着陸に許可制や禁止の定めがあります。
標識の有無にかかわらず条例を確認することが重要です。
イベント・催し会場
不特定多数が集まる催し上空の飛行は、承認が必要で難易度も高い分野です。
主催者の同意や観客との距離確保、飛散対策など厳格な条件が求められます。
山岳・文化財・空港周辺
山岳地域でも航空路や滑空場付近は注意が必要です。
文化財や保護区域では独自の禁止や申請が定められていることがあります。
空港周辺は高度に関係なく飛行が制限される範囲があります。
罰則・行政対応・損害賠償の現実
無許可飛行は行政指導に留まらず、刑事罰や民事賠償の対象になります。
事前の申請コストに比べ、違反の代償は極めて大きいと認識しましょう。
航空法違反の罰則
無許可空域の飛行や承認なく危険な飛行方法を行った場合、懲役または罰金の対象になります。
登録義務違反も処罰対象です。
悪質な事案では厳正に対処されます。
小型無人機等飛行禁止法の罰則
重要施設やイベント周辺での飛行違反は、刑事罰の対象です。
警察による厳格な運用が行われており、立入や押収の可能性もあります。
電波法違反
技適マークの無い機器や出力超過、周波数の不適合は違法です。
無線設備の不正利用は懲役または罰金の対象となり得ます。
道路使用許可違反
道路上の離着陸や立入りで許可を怠ると、行政指導や罰則の対象になります。
特に市街地では周囲への影響が大きく、慎重な計画が必要です。
民事責任と保険
対人対物事故では高額の損害賠償が発生します。
ドローン専用の賠償保険に加入し、保険金額や免責、適用範囲を事前確認しておきましょう。
許可・承認の取り方 DIPS2.0完全ガイド
国土交通省のオンラインシステムであるDIPS2.0を使えば、許可・承認の手続は一元的に進められます。
準備から取得後の運用までの流れを整理します。
申請までの前提チェック
次の前提を確認します。
- 機体が登録済みであること
- リモートIDが搭載または登録されていること
- 操縦者の技能と安全体制が整っていること
- 飛行目的と場所が明確であること
不足があれば先に整備します。
DIPS2.0での申請手順
- アカウント作成と本人確認
- 機体登録を行い登録記号を取得
- 標準マニュアルの選択または独自マニュアルの登録
- 空域の許可申請、飛行方法の承認申請を入力
- 地図や飛行範囲、期間、操縦者情報を添付
- 提出後、審査結果を受領
飛行は許可・承認の交付後に限られます。
余裕を持って手続しましょう。
標準マニュアルと独自マニュアル
標準マニュアルは一般的な運用を想定した雛形で、審査が迅速です。
特殊な運用や高度なリスク低減策を提示する場合は独自マニュアルが有効ですが、審査が重くなります。
申請書の書き方のコツ
危険源の特定と低減策を具体化します。
対人距離、補助者配置、フェイルセーフ設定、風速基準、RTH高度、飛行禁止条件などを定量で記載すると通過しやすくなります。
審査期間とスケジュール
通常は提出から一定の審査日数を要します。
目安として少なくとも10開庁日前を基準に逆算し、余裕を確保します。
繁忙期はさらに余裕を見込みます。
許可後の携行・記録・通報
許可書や承認書は電子データで携行し、現場で提示できるようにします。
飛行前後の記録、飛行情報共有機能の活用、関係者への周知を徹底します。
条件違反を避け、更新時期も管理します。
機体登録とリモートIDの最新ポイント
登録とリモートIDは、無人航空機の適法飛行に不可欠です。
点検や買い替え、レンタル時の取り扱いも押さえておきましょう。
登録義務と有効期間
100g以上の機体は登録が義務で、登録記号の付与を受けます。
登録には有効期間があり、期限管理と更新手続を忘れないようにします。
リモートIDの種類と装着
内蔵型と外付け型があり、機体や運用に応じて選択します。
取り付け位置はGNSS受信や電波に影響しないよう配慮し、識別信号の発信を確認します。
登録記号の表示方法
外から視認できるよう、機体外面に消えにくく表示します。
衝突を避けるためプロペラに干渉しない位置に貼付します。
共同利用・レンタル時の扱い
共同利用では管理責任者を明確化し、登録情報とリモートIDの整合を取ります。
レンタルは提供側の指示に従いつつ、飛行者側も許可や承認の要否を再点検します。
100g未満でも注意すべき規制
100g未満の模型航空機は航空法の一部対象外ですが、自由に飛ばせるわけではありません。
他の法令や場所ルールが強くかかります。
小型無人機等飛行禁止法
重要施設や警備対象区域では、重量に関係なく飛行が禁止されます。
看板が無くても指定されていることがあるため、事前確認が不可欠です。
私有地の許可と迷惑防止条例
私有地上空では土地管理者の同意が望まれます。
騒音やプライバシー侵害に関しては各地の条例が適用され、通報や指導の対象となりえます。
学校・病院付近の配慮
脆弱な人の多い施設周辺では、飛行を避けるか十分な距離と高度を確保します。
授業や診療の妨げにならないよう時間帯にも配慮します。
飛行計画と安全対策の作り方
安全は事前に作り込むものです。
リスクを定量化し、チェックリストと手順で確実に低減します。
リスクアセスメント
落下、飛散、接触、電波断、バッテリー過放電、風や磁気異常などのリスクを洗い出し、発生確率と影響度で評価します。
許容できないリスクには代替案や条件変更で対処します。
フライト前チェックリスト
- 許可・承認書、登録情報、リモートIDの確認
- バッテリー電圧、寿命サイクル、予備の確保
- プロペラとアームの固定、クラック点検
- コンパスとIMUのキャリブレーション
- RTH高度、ジオフェンス、最大高度設定
- 風速と突風、降雨、気温の評価
- 補助者配置、立入規制、離着陸帯の確保
フェイルセーフ設定と電波
通信断時の挙動は帰還、ホバリング、着陸のいずれかを状況に応じ設定します。
2.4GHzと5.7GHzの環境ノイズを現地で確認し、技適機のみを使用します。
目視補助者の役割
目視外や複雑な環境では補助者が必須です。
状況監視と第三者接近のコール、立入管理を担います。
無線での確実なコミュニケーション手順を決めます。
トラブル時の対応と保険選び
万一の際の初動と報告、保険の備えが被害拡大を防ぎます。
手順を事前に共有しておきましょう。
事故時の初動
まず電源断と二次災害防止、負傷者の救護、第三者の退避を優先します。
機体の回収は安全確保後に行います。
写真や状況メモで記録を残します。
警察・管轄への連絡
人身事故や重大事案は速やかに警察や関係機関へ連絡します。
必要に応じて所管行政への報告や、許可条件に基づく連絡を行います。
対人対物賠償保険の選び方
対人対物は高額を想定し、1億円以上の補償を基本に検討します。
飛行許可の有無や条件違反時の免責、物件投下や夜間の特約も確認します。
事業用包括保険
複数機や多数現場を扱う場合は包括契約を検討します。
使用者責任、請負賠償、機体損害のバランスを見て選びます。
事例で学ぶ 無許可を避ける判断軸
現場の悩みは具体の状況で判断が分かれます。
よくあるシーンでの考え方を示します。
事例1 市街地でのPR空撮
人口集中地区かを最初に確認します。
該当すれば許可が必要で、さらに人や車から30m確保が難しければ承認が必要です。
道路占用や管理者の同意、警備計画もセットで用意します。
事例2 河川敷での設備点検
管理者の事前同意を取り、GPS受信に影響する構造物を確認します。
航路や鳥類保護エリアの有無をチェックし、立入規制と補助者を配置します。
必要に応じ包括許可の活用で効率化します。
事例3 旅先での風景撮影
観光地は条例や管理規則が厳しい場合があります。
文化財や重要施設の近接には特に注意し、早朝など人の少ない時間帯でもルールは同じです。
周囲への周知と短時間運用を心がけます。
まとめ
無許可飛行の最大の問題は、複数法令の一つでも欠けると違反になることです。
航空法の許可・承認に加え、機体登録とリモートID、場所の許諾、電波法の順守を一体で確認しましょう。
DIPS2.0での手続は段取りを掴めば難しくありません。
現場ではチェックリストと補助者運用、フェイルセーフ設定で安全余裕を確保します。
保険も重要で、対人対物の高額補償を前提に選定します。
今日の一本は、計画と申請でリスクを削り、安全で美しい成果につなげましょう。
最新情報ですので、定期的な制度更新の確認も忘れずに行ってください。
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